省力化と低コスト化図る「密播」技術での田植えを実施
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田植えの季節を迎える中、JA鶴岡管内では農作業の省力化と低コスト化を図る「密播(みっぱ)」の技術で田植えが進められている。管内では年々導入者が増加しており、12戸が78・3㌶で取り組む。
「密播」では、苗箱1枚に播種する種もみの量を通常140〜180㌘を200~250㌘に増やして苗箱数を減らし、田植え時に慣行の約1/3の小面積をかき取り、慣行同様3~5本を移植する。2種類の技術を同時に行うことで、苗箱数と苗の補給回数が少なくなり、省力と生産コストの低減を図る技術だ。通常10㌃当たり苗箱25枚が必要な水田には、密播だと50株植えで平均で11~15枚程度で済む。さらに基本的には既存の機械・設備で導入することができるため投資コストがほとんどかからない。
同JAでは、水稲の生産コストの低減を目指して2017年から「密播」の試験栽培を開始。過去3年間、苗質や育苗管理、生育調査と収量品質調査を継続し、慣行栽培と変わらない結果が表れ、JA大泉支所を中心に研修会を開き推進してきた。
5月14日に田植えを行った鶴岡市伊勢横内の菅原伸一さん(58)は、9・3㌶のうち7・3㌶で「密播」を導入し、4年前から取り組む。菅原さんは「水稲栽培面積が拡大する時代で、苗代に空きがない点を解消し、田植え時の苗渡し作業軽減や費用の削減にもつながりメリットが大きい。過去3年間収量・品質・食味も慣行栽培と大きな差はなかったので、今後も苗質を向上し根張りを改善しながら、密播技術で多収穫・高品質・良食味米を作っていきたい」と意気込む。
今年は4月中旬に低温の日が続いたことで苗の成育が心配されたが、その後の天候の回復で持ち直し、例年通り丈夫な苗に育った。
同JAの営農指導員は「加速する1戸あたりの水稲栽培大規模化に対応できるよう、展示圃(ほ)を設けた生育調査等データ採取を継続して研修会等を開き、普及推進していく」と話す。
密播技術で田植えを行う生産者